「日本語が変」ってどういうこと?

国語・日本語教師によるブログ。教育トピックのほか、趣味のアート鑑賞についても書いています。HP…https://japabee.wixsite.com/japabee-japanese

留学生が求める「正しい日本語」と先生の答え

日本語教育の大学院に進学する前、文学部の学生だった私は、留学生向けに開講された日本語科目に日本語ボランティアとして参加していた。自分の内面に向き合って長いレポートを書くことを目的としたクラスで、留学生の一人が、 「先生、もっと正しい日本語を…

こんまり先生に教わるグローバルに成功する人の「母語コンテンツ」

Netflixに加入して半年ほど経つ。お宅改造系やインテリア・建築系などの好きなジャンルを見ていたら、「KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~」をNetflixからお勧めされた。 こんまり先生と言えば、日本で『人生がときめく片づけの魔法』がベストセラーに…

ダフナ・ジョエル&ルバ・ヴィハンスキ『ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性』を読んで

ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性 作者:ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ 紀伊國屋書店 Amazon 「あなたが書くものはとても男性的ね。男性が書いた文章を読んでいるみたい。」 高校生の時、私が書いたレポートを読んで国語教師が呟いた。 その時…

平山 亮『介護する息子たち: 男性性の死角とケアのジェンダー分析』を読んで

介護する息子たち: 男性性の死角とケアのジェンダー分析 作者:亮, 平山 勁草書房 Amazon 親を介護する際に、息子が虐待加害者になってしまうケースは、娘や嫁に比べるとかなり多い、という事実をご存じだろうか。 厚生労働省が出した要介護高齢者に対する虐…

国語教育とは、日本語教育とは。

私はこれまで、海外から日本へ、または日本から海外へ移動してきたJSL(Japanese as Second Languageつまり日本語を第二言語として学ぶ)生徒への日本語指導や国語指導に携わってきた。 公立の学校で日本語指導員として働いていた大学院生時代、教えていた生徒…

吉田修一『パレード』を読んで

この作品の舞台は、若い男女が5人集まって共同生活を送るマンションの一室だ。様々な職業に就いており、ものすごく話が合うわけでも、ものすごく仲が良いというわけではない。が、気まぐれにアドバイスを与え合い、助け合いながら生活している。干渉しすぎず…

内田樹『街場の教育論』を読んで

かつて人間は、敵や寒さから身を守るため集団で身を寄せ合って眠った。 古来、睡眠とは、寝言や歯ぎしり、イビキ、他者の体温と共にあるものだったといえる。やがて文明が発達し、人は区切られた部屋のなか分断されて眠るようになった。 しかし、それは果た…

鴨居玲展へ行った話

鴨居玲。 何となく気になっていた画家だったので、東京ステーションギャラリーでの展示を見に行ってみた。特に強く訴えかけてくる絵、痛烈に感じる絵があったので忘れないうちに文章化しておく。 まず、この絵、「教会」(1976)。 私は特定の宗教を信仰し…

ゲーム『クロノ・トリガー』にみる現代情勢

小学生の時に一度クリアした『クロノ・トリガー』というゲーム。確かその時のハードは、懐かしのスーパーファミコン。 ニンテンドーDSに移植されたヴァージョンの中古品が格安で売っていて、ついつい懐かしくて買ってきてしまった。 1995年発表のゲームだ…

死を生み出す「深淵」に落ち込まないためには?

イスラム過激派が関わる事件についての報道と、それを取り巻く反応を見て、ここ1、2週間ずっと暗鬱な気持ちになっている。そんな中、漠然と感じていたことを文章にしてくれた人がいた。 小説家の高橋源一郎さん。 http://www.huffingtonpost.jp/2015/02/08…

いとうせいこう『想像ラジオ』を読んで

東日本大震災を題材にした、いとうせいこうの『想像ラジオ』を読んだ。 この小説は、直接被害に遭った人というよりも、その外側にいて、何もできず歯噛みした、つまり被災地にいなかった被災者に手向けることが第一目的で書かれたのではないかと感じている。…

角田光代『対岸の彼女』を読んで

facebookがわりと好きだ。 巷では、リア充の自慢のための媒体なんて言われているのを目にするし、実際にその側面があると感じている。 それでも、なんとなく好きだ。 私がfacebookで繋がっている人、すなわち「友人」は、中高一貫の女子校に通っていた時に同…

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

そういえば、心に焼きついて離れないような体験をしたのに文字化を怠っていたことの一つに、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」がある。以下、これから体験予定の人は、感動が薄まると思うで、なるべくならこの記事は読まないでもらいたい。 http://www.dialo…

「アナと雪の女王」「思い出のマーニー」に見る王子不在の世界

最近公開された2つの映画を見て、印象的だったことを簡単にレポート。 どちらの映画も驚くほど男性の影が薄い。お城にいるお姫さまを助けに行こうとするのは王子さまではなく少女。また、どちらの映画も、登場人物が愛に気づいて自分を取り戻すという過程が…

三島由紀夫『禁色』と切腹

常々、「切腹」って何だろうと思っていました。新渡戸稲造や千葉徳爾によれば、古来日本人は腹が人間の本心を内部に存在させる場所であるという意識があり、腹を切ることで自分の本心があかき清きものであることを証明しようとした、ということらしいです。 …

バルトュス展へ行った話

2014年6月13日 バルテュス展。パンツ丸見えどころか色々丸見えな少女たちの美しい絵を堪能してきました。このイケナイモノを見てる感覚は何だろう…と分析するに、多くの絵の少女が、画家を注視せずひとり遊びに没頭している様を描いてるからなんだと思う。手…

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