小学生の時に一度クリアした『クロノ・トリガー』というゲーム。確かその時のハードは、懐かしのスーパーファミコン。
ニンテンドーDSに移植されたヴァージョンの中古品が格安で売っていて、ついつい懐かしくて買ってきてしまった。
1995年発表のゲームだし、ドット絵だし、小学生の時にすでにやっているし…などと思っていたら、あっという間に引き込まれ、帰宅後ちょくちょく進めている。
そして改めてこのゲームのクオリティの高さに驚いている。
最終的な敵が「ラヴォス」という星に寄生する巨大なエイリアンなのだが、この「ラヴォス」は石器時代に隕石のように宇宙から落ちてきて、そのあと強力なエネルギーを内包しながら、主人公の住む星の地中深くに長年巣食っているという設定。(小学生当時は巨大なウニだと思っていた。バカだから。)
太陽エネルギーでは高度な文明生活を維持できなくなった人類が、代替エネルギーとして「ラヴォス」の力を引き出そうと海底神殿を建設する。が、力をコントロールできなくなって暴走させてしまう。神秘的だったはずのエネルギーは完全に負の力となって都市を襲い、壊滅状態にまで追い込む。
危険な力を引き出そうとしたせいで、高度に発達した一つの文明が破滅を迎えてしまうのだ。ちなみにその時に津波まで来る。
これって、そのまま原子力の話なのでは?今から20年前のゲームなのに、3・11を予期していたみたいでちょっと怖い。
そしてもう一つ驚いたのが「魔王」というキャラクターについて。
中盤までは悪役として出てくるキャラなのだが、途中から「ラヴォス」を倒すために協力する仲間となる。
大事な主人公サイドのキャラクターのにっくき敵役だったこの「魔王」が、なんと仲間になるというのが、小学生ゴコロに興奮で、細かい設定をよく理解していなかった。
だが大人になってから見ると「魔王」はなかなか複雑なキャラクターである。魔王軍を率いて人間相手に戦いを仕向けてきたが、本当は「ラヴォス」の狂ったエネルギーに大切な家族を奪われ、その復讐のために「魔王」になっていたので、最終的に主人公側と利害が一致しともに戦うことになる。
「魔王」が装備する武器や防具は「ぜつぼうのかま」や「ぜつぼうのマント」で、キャラクター自身のヴィジュアルのネガティブさも半端なく、BGM「魔王のテーマ」の悲壮感もすごい。
「ぜつぼう」から生まれた「魔王」。やっていることはテロリストと同じなのだが、単なる悪役ではなく、歴史の生んだ悲劇に巻き込まれた人物として描かれているあたり、現代の世界情勢に通じる複雑さを感じさせる。肝心な力の説明が「魔法」だからファンタジーになっているが。
このままだともう一度クリアすることになりそう(おとなげない)…なので、とりあえず『クロノ・トリガー』は大人がやる価値のあるゲームだ!と声を大にしていいたい。